髄芽腫 medulloblastoma

髄芽腫 Medulloblastoma [ 定義・概念 ]

・小脳に発生する米分化な小型細胞からなる腫瘍で小児に好発する。

・主として神経細胞への分化を示す。 ・髄液播種を起しやすく、悪性度の高い腫瘍である。 [ 頻度 ] [ 好発年齢 ]

・小児に好発し、7歳にピークがある。およそ80%は15歳未満の小児に発生する。
[ 性別 ]
・男性にやや多い(1.7:1)。

・高度結節性髄芽腫は乳幼児に発生しやすい。 ・小脳中部に好発する。成人例は線維形成結節性髄芽腫は半球に発生することが多い。 ・体幹失調、歩行障害、第Ⅳ脳室にの占拠による閉塞性水頭症を来たし、嗜眠状態、頭痛、早朝嘔吐等の頭蓋内圧亢進症状を呈する。 (3)画像所見 ・CTやMRIでは、強く造影される充実性の腫瘤性病変として描出される。小脳半球腫瘍はしばしば髄膜腫やシュワン細胞腫などの実質外腫瘍との鑑別が問題となる。 ・高度結節性髄芽腫は,grape-like appearanceが特徴的である。 (4)病理所見 1)古典的髄芽腫 Classic medulloblastoma 2)線維形成結節性髄芽腫Desmoplastic/nodular medulloblastoma 3)高度結節性髄芽腫Medulloblastoma with extensive nodularity ・稀な亜型で、大型の結節が密に分布し、細網線維を伴う暗調野は狭い。 (5)免疫組織化学 (6)鑑別を要する腫瘍型 ・小児では、AT/RT、退形成性上衣腫、末梢性神経芽腫の転移 ・成人では、悪性リンパ腫、小細胞膠芽腫、小細胞癌の転移 (7)染色体・遺伝子異常 ・isochromosome 17qを伴う17pの欠失が30-40%に認められる。 ・遺伝子発現プロファイリングにより、WNT,SHH, Group 3, Group 4の4種類のsubgroupに分類されることが明らかとなった。このうちWNT subgroupは予後良好であり、CTNNB1の遺伝子変異により、β-cateninの核内集積が認められる。Group3は予後不良で、多くは大細胞退形成性髄芽腫であり、MYCの増幅がみられる。 (8)予後 ・髄液播種を起しやすく、特に大細胞退形成髄芽腫では、発症時に播種性病変を見ることが多い。 ・補助療法により改善し、5年生存率は60-70%である。 ・古典型髄芽腫に比較して、大細胞退形成性髄芽腫は生存期間が有意に短い。一方、線維形成結節性/高度結節性髄芽腫は予後良好で生存期間が長い。

[ 好発部位 ] [ 症状 ] [ 画像所見 ] [ 治療 ] [ 病理学的所見 ] [ 予後 ] 参考文献: 参考資料: 第31回日本脳腫瘍病理学会 教育セミナーテキスト

w300

  • このエントリーをはてなブックマークに追加