Awake surgery for WHO Grade II gliomas within “noneloquent” areas in the left dominant hemisphere: toward a “supratotal” resection.

Yordanova YN, Moritz-Gasser S, Duffau H. Awake surgery for WHO Grade II gliomas within “noneloquent” areas in the left dominant hemisphere: toward a “supratotal” resection. Journal of Neurosurgery. 2011;115(2):232-9.

目的:WHO Grade II gliomas(low-grade gliomas[LGGs])であってもsubtotalやtotal resectionといった拡大摘出はOSを延長することが証明されている。LGGsの浸潤はMRIでは過小評価されており、最近のデータでは病変から20mm離れたところからも腫瘍細胞が見つかったと報告されている。それ故、MRI上の病変境界を超えて摘出することを著者らは”supratotal” resectionとし、LGGの予後を改善するかもしれないと仮定し調べた。しかしながら、LGGは”eloquent” areasにあることがしばしばあり、supratotal resectionを遂行することは難しい。しかしながらLGGが左の優位半球の”noneloquent” areasにあれば可能になる。著者らは灰白質白質のeloquentな構造まで、MRIイメージで分かる病変を超えて摘出するために覚醒下電気刺激マッピングを用いて機能的な境界を調べることは有用であることを報告する。これらの外科テクニックを用いれば、eloquentではない、或いはeloquentから離れている所にあるLGGsに対して、MRIでわかる病変を超えても、脳機能を温存しmarginをおいて摘出することきるかを目標とした。
方法:1998年12月~2010年2月の間に行われた18歳以上のLGGs。症例は左優位半球でnonfunctional areasにあるWHO Grade IIのGliomaで右利き15例、計17回の手術を行った。男性8名、女性7名、平均36.4歳(24-59歳)。初発症状はすべて痙攣であった。全症例に覚醒下術中刺激を行った。術中刺激を行い皮質や皮質下の機能、特に言語を同定出来るまで摘出を続けた。切除範囲は術後のFLAIR画像で評価した。
結果:60%の症例で一過性の神経症状悪化を呈したにもかかわらず、全症例で社会復帰可能な状況まで回復した。抗てんかん薬を減量しても、全患者で痙攣のコントロールが出来た。術後MRIにて全症例で全摘出を確認でき、15例ではsupratotal resectionが確認できた(2例のsupratotal resectionできなかった症例はpresupplementary motor areaとsuperior parietal lobe)。術後摘出腔の平均体積36.8cm3は術前腫瘍の平均体積26.6cm3より明らかに大きい(P=0.009)。病理組織学的検査では全例WHO Grade II(詳しい組織は記載無し)であった。術後の平均follow-up期間は35.7ヶ月(6-135ヶ月)であった。15例中4例でanaplastic transformationなく再発を呈した。再発まで平均期間は38ヶ月で、1例は6年後に再発し放射線を施行したが、他はadjuvant treatmentを受けていない。コントロール群として29例の全摘出だけを行った患者では7例がanaplastic transformaionを来たしたが、今回supratotal resectionが出来た全ての症例では再発しなかった(P=0.037)。supracomplete resectionの1例に比較し、コントロール群では10例がadjuvant treatmentのために入院した。
結論:左大脳半球のnoneloquent areasにあるLGGsをsupratotal resectionするためには覚醒下術中機能マッピング(言語)を行う事が大事である。拡大摘出を行う事により、新たな恒久的な障害を起すことなく、全ての患者で痙攣のコントロール可能であった。Supratotal resectionのゴールは治癒可能までに至らずとも、anaplastic transformationを現在としては延長することが可能である。

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