脳腫瘍(神経膠腫-グリオーマGlioma)について

脳腫瘍は、頭蓋内の組織から発生する原発性脳腫瘍と他臓器癌からの転移性脳腫瘍に分けられる。
原発性脳腫瘍は10 万人に年間1112 人発生するといわれており、国内全体では年間13,00014,000人程度となる。脳腫瘍全国統計によれば、原発性脳腫瘍の組織分類別の発生頻度は神経膠腫28%、髄膜腫26%、下垂体腺腫17%、神経鞘腫11%である。神経膠腫は神経細胞の支持組織であるグリア細胞から発生する原発性脳腫瘍であり、神経膠腫の代表である星細胞腫は神経膠腫の約80%を占める。
原発性脳腫瘍は、組織分類別にその病理組織学的な悪性度と予後の組合せによって良い方から悪い方へGrade1Grade4 に細分類される。その為、星細胞腫もその悪性度に応じてGrade 1Grade 4に細分類される。Grade 1 および2 は分化型星細胞腫と呼ばれ予後が良好であるのに対して、Grade 3 および4 は悪性神経膠腫とも呼ばれ予後が不良である。
星細胞腫Grade 1の代表は小児に発生する毛様細胞性星細胞腫であり、限局性に発育するため、手術で全摘出すれば治癒が期待できる。しかしながら、視神経・視床下部・脳幹などに発生した場合は摘出が困難であるため放射線治療が行われることがあり、また乳幼児では放射線照射を行うことにより遅発性脳障害の危険性が大きいためプラチナ系化学療法剤による治療が行われることが多い。
星細胞腫Grade 2は脳内に浸潤性に発育するため全摘は容易でないが、手術のみにより長期生存が得られることもある。術後の残存腫瘍に対する放射線治療の効果についてはまだはっきりとした結論が出ていない。
星細胞腫Grade12 を合わせた5 年生存割合は70%程度である。
星細胞腫Grade 3は退形成性星細胞腫に相当し、神経膠腫の18%を占め5 年生存割合は約23%である。
Grade 4のうち、稀な組織型である巨細胞膠芽腫と膠肉腫を除く膠芽腫は、神経膠腫の32%を占め5 年生存割合は6%である。神経膠腫は脳実質内に発生し浸潤性に発育するが、その中でも星細胞腫Grade 3Grade 4 は特にその傾向が強く、境界が不鮮明で増殖速度も速く、各種治療を行っても大半が再発する。そのため、星細胞腫Grade34 は共に、現在なお治療が困難な疾患である。
また、病理診断に関する中央判定を行った場合、星細胞腫Grade3 においては1030%程度で星細胞腫Grade3 に比べて化学療法に対する感受性が高い退形成性乏突起膠腫(乏突起膠細胞系腫瘍のGrade 3と診断される可能性がある。
治療法

w300

  • このエントリーをはてなブックマークに追加