運転免許、認知症の恐れで診断書 75歳以上義務、改正道交法成立

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 75歳以上の高齢者に対する運転免許制度を見直し、認知機能検査の強化を柱とする改正道交法が11日の衆院本会議で、全会一致で可決、成立した。施行は公布から2年以内。厚生労働省によると、2012年に認知症高齢者は462万人おり、25年にはさらに増え、65歳以上の約5人に1人に上ると推計されている。

 検査で認知症の「恐れがある」と判定された全ての人に医師の診断書の提出を義務付けた。発症していたら免許を停止か取り消しにする。判断力や記憶力の低下による事故を減らすのが狙いだ。

 現行制度では、75歳以上の免許所有者には、3年ごとの免許更新時に認知機能検査を実施。認知症の恐れがある「1分類」、認知機能低下の恐れがある「2分類」、問題がない「3分類」に判定している。14年は約5万3千人が1分類だった。

 1分類でも過去1年間に信号無視などの違反がなければ医師の診断なしで免許を更新できる。2、3分類だと違反をしても次の更新時まで検査を受けなくて済んだ。

 新制度では、1分類だと速やかな医師の診断書の提出が必要。2、3分類でも逆走などの違反をすれば臨時の認知機能検査を義務付ける。認知機能の低下が認められると臨時講習を受け、1分類と判定されたら医師の診断書の提出を求める。認知症の有無や進行程度を適切に確認するのが目的だ。

 道交法を所管する警察庁によると、交通事故による死者は昨年まで14年連続で減っているが、75歳以上が起こした死亡事故は14年が471件で、うち181件(38%)は、免許更新時の検査で1分類か2分類と判定されていた。

 改正道交法はほかに、新たな運転免許区分として総重量3・5トン以上7・5トン未満の車を運転できる「準中型」を盛り込んだ。現行の普通と中型の間に加わり、大型と合わせ4区分となる。

 ※認知機能検査

 75歳以上の免許所有者を対象に、現行では3年に1回の免許更新の際に実施。改正道交法では、信号無視など一定の違反をすると随時行うとの規定が加わった。記憶力や判断力、空間把握能力を試す検査で、時間は30分の100点満点。検査当日の年月日や時間を問うたり、イラストを見て覚えたりする問題が並ぶ。認知症の恐れがある「1分類」は49点未満。認知機能低下の恐れがある「2分類」は49~76点未満で、問題なしとされる「3分類」は76点以上だ。

2015年6月11日 共同通信より

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